本調査は、将来的にアジア諸国における口腔病理専門医化を日本が主導をとりながら、口腔病理学の標準化が可能となるように、アジアにおける口腔病理学の教育の現状と口腔領域における病理診断の実情を調査することを目的とする。最終的には、我が国がアジア諸国での口腔病理専門医化制度の整備を主導をしていくことを目指した戦略的な調査である。 本年度の調査として、22年12月にスリランカ民主社会主義共和国のペラデニア大学にてW. M. Tilakaratne(研究協力者)と同国の口腔病理学の教育の現状および本調査(ネパール連邦民主共和国、モンゴル国、ラオス人民民主共和国)の現地調査ための準備打ち合わせを行った。また、23年3月にマレーシア、マラヤ大学にてR. B. M. Zain(研究協力者)と同国の口腔病理学の教育の現状と本調査(インドネシア共和国、カンボジア王国、ベトナム社会主義共和国)のための準備打ち合わせを行った。 上記の調査により、マレーシアおよびスリランカにおいては英国の教育方法に従い口腔病理学の教育と口腔病理診断が行われていることが判明した。特に、マレーシアにおいては、世界の100大学にマラヤ大学が入ることを目指し、精力的に教育の質をあげていた。口腔病理専門医の資格制度においては、マレーシアでは国の資格試験を行っているが、その数は少なく病理医に依存することが多いことが分かった。また、その他のアジア諸国の本調査の打ち合わせでは、上記にあげた6カ国において口腔病理専門医制度は無く、教育も行われていない。これらの国での口腔病理学の教育の標準化および口腔病理専門医の育成を行うことが必要であることが示唆された。特に、ベトナム社会主義共和国では近々に口腔病理学講座と口腔病理医による診断業務を始めたい意向があることが分かった。
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