研究概要 |
カンボジアの子ども達の齲蝕罹患状況や食習慣の現状を把握し, その予防対策の検討を経年的に実施することにより,環境に伴う齲蝕・歯肉炎発症因子の解明, 齲蝕・歯肉炎予防に貢献することを目的として第3回調査を実施した。一昨年と昨年はシェムリアップ州の郊外と市内の3歳, 5歳および12歳の約1,300名に対して口腔内診査および生活環境に関するアンケート調査を実施し,その結果をまとめたところ郊外と市内での齲蝕罹患率や環境要因での差は認められなかった。本邦に比べ齲蝕罹患率は非常に高い傾向が認められ, 処置歯率は極めて低い傾向が示された。また,歯垢の沈着が著しい小児が多数認められ, 歯磨き習慣が皆無に等しいことが示唆された。今回はカンボジアの首都プノンペン市内の2幼稚園と2小学校の3歳, 5歳および12歳の合計719名に対して口腔内診査および生活環境に関するアンケート調査を実施し,調査対象として集計を現在行っている。集計の最中でシェムリアップ州と異なる点は齲蝕の処置数がシェムリアップに比べ多く, 受診可能な経済状況と受診可能な歯科医院の存在がその背景にあるものと示唆された。2012年度の調査結果を早期に集計し, 分析後に2010年からの結果を考察した上で, 次年度は予防プログラムの確立に向け口腔衛生習慣の改善点を探る予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的はシェムリアップ州の小児の齲蝕状況を把握することであったが,らシェムリアップ市内と郊外での齲蝕罹患状況はほぼ同様であったことから今年度は首都プノンペン市内の状況を把握する目的から調査を実施した。現在も集計中であるが,本邦に比べ齲蝕罹患率が高い傾向が示されている。次年度からは齲蝕予防の対応を検討する上で首都での調査は重要であり,今年度調査の集計と分析が終了したら,シェムリアップのデータと比較し,生活習慣要因分析を行い予防プログラムの確立に向け改善点を探る予定である。
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今後の研究の推進方策 |
カンボジアの歯科疾患調査状況や結果は地域や調査者により異なる。当初, 課題にシェムリアップ州と限定したが,調査を進めるにしたがい一地域から全土へ向けての調査が必要と考えられ,首都プノンペンの歯科疾患調査の現況も把握する必要性が生じたため今年度調査をプロンペン市内で実施した。今後は次年度の齲蝕予防対策に向けた対応法を検討し,実施する予定で準備を進める。
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