研究課題/領域番号 |
22406034
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
嶋崎 義浩 九州大学, 大学院・歯学研究院, 准教授 (10291519)
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研究分担者 |
山下 喜久 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (20192403)
江島 伸興 大分大学, 医学部, 教授 (20203630)
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キーワード | 韓国 / 成人口腔保健 / 国際比較 |
研究概要 |
日本人と韓国人は、モンゴロイド人種の中でも遺伝子的に極めて近縁な関係にある一方、生活習慣や医療保険制度を含む社会保障体制など両国間の背景要因には数多くの相違点があり、口腔健康状態にも二国間で差があることが示唆されている。そのため、本研究により日韓両国の口腔保健に関する疫学データを整備し、両国の医療保険制度や歯科保健対策、また住民や医療者側の口腔保健に対する意識など社会的な背景要因について調査分析することで、両国間の口腔保健状態の違いに影響を及ぼす要因を総合的に検証する。 両国間の口腔健康状態を比較するためには、大規模集団の調査データを比較することが望ましい。そのため、大規模集団に対する歯周疾患有病者をスクリーニングする方法として唾液潜血試験の有効性についての評価を行った。両国間の口腔健康状態の違いを明らかにするための手法の一つとして口腔細菌構成の網羅的解析手法(T-RFLP法)を用いるが、同手法を用いて日本の径管栄養高齢者集団や口腔の揮発性硫化物濃度と細菌構成の状態との関連について明らかにすることで、口腔細菌構成解析の口腔健康状態の評価指標としての有用性を確認した。また、日本の職域成人集団における歯科保健行動と口腔健康状態との関連性を明らかにした。日本における疫学調査データの分析結果は、今後予定している韓国の疫学調査データの比較対象となる。 また今年度は、ソウル大学予防歯科が韓国ソウル市近郊の楊平市で行っている大規模疫学調査に参加し調査対象者より刺激唾液を採取することができ、韓国地域住民の口腔細菌構成を解析する準備が整った。また、韓国国民健康栄養調査の口腔診査で指導的立場にある韓国人歯科医師と日本の診査者との合同のキャリブレーショントレーニングを日本で実施することができたことは両国間の口腔保健の疫学データを比較する上でも重要な意義を持つものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、韓国の楊平市における地域住民への健康調査に参加し、対象者から唾液試料を採取することにより、韓国における地域住民の口腔細菌構成の分析が可能となった。また、韓国国民健康栄養調査における口腔診査の指導的立場にある韓国人歯科医師と日本の診査者との合同の口腔診査のキャリブレーショントレーニングを日本で実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
現時点では、韓国疫学調査の健診情報を入手できていないため、日本人と韓国入の口腔細菌構成の違いが口腔健康状態や全身の健康状態の違いに影響を及ぼしているのかを解析できていない状態である。そのため、今後、韓国の疫学調査データを入手し、口腔健康状態と口腔細菌構成との関連を日本人および韓国人の両データをもとに解析を行い、両国の口腔健康状態の違いに対する口腔細菌構成の影響を明らかにしていく予定である。また、韓国における歯科保健に関する調査結果についても日本の調査結果と比較を行いたいと考えている。
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