研究課題/領域番号 |
22406035
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
広瀬 たい子 東京医科歯科大学, 大学院・保健衛生学研究科, 教授 (10156713)
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研究分担者 |
三国 久美 北海道医療大学, 看護福祉学部, 教授 (50265097)
岡光 基子 東京医科歯科大学, 大学院・保健衛生学研究科, 助教 (20285448)
寺本 妙子 日本橋学館大学, リベラルアーツ学部・人間心理学科, 講師 (20422488)
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キーワード | 育児支援 / 看護職 / 日・米・フィンランド比較 / 児童居虐待 |
研究概要 |
本研究は、日・米・フィンランド3カ国における子どもの虐待予防のための看護職の役割・組織・法整備のあり方について、海外調査を通して明らかにすることである。 23年度は、米国ワシントン州、コロラド州、ユタ州、アリゾナ州の訪問調査と、実際に小児の虐待予防活動に従事している看護職、医師、心理職等からの研修も受けた。上記4州における虐待予防に関する活動や組織・法整備については、帰国後に、訪問調査に基づいたネットワーク検索を通した情報収集も実施した。 その結果、以下のようなことが明らかにされた。現代型児童虐待の発見は1960年代からクローズアップされたが、その誘因としてあげられるのが、医学の進歩、家族の変容(離婚、非嫡出子・片親家庭・再婚率の増加)、米国内の権限争いであった。一方で、通告者と通告義務の制定や、児童虐待防止法の制定、養子縁組援助と子どもの福祉に関する法律の改正等が行われた。また、家族支援サービスプログラムの導入や、安全で安定した家族を促進するための改正法や児童虐待防止のための法律のたびたびの改正が行われた。このような動きの中で、看護職がどのような役割を果たしてきたのか、についての情報収集と検討は、これからである。 米国におけるこのような取り組みは、ほとんどが各州によって異なっているのが特徴であり、このような取り組みは民間主導型であることも特徴としてあげられる。アリゾナ州ツーソンの開業臨床心理士(看護師資格も有する)を訪問し、乳幼児精神保健に関連した心理療法の実際を観察・調査する機会を得ることで、日本とは異なった取り組みの実際を知ることができた。 ユタ州ソルトレイクシティでは、小児の性的虐待予防と発見・治療に関わる小児科医、精神科医、看護師の活動を調査することができた。これらの活動も日本では見られないものであった。 以上の、成果をまとめ、24年度に予定している、日本の実情や看護職の役割の調査結果との比較を行いたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地調査は予定通り実施できているが、その調査結果のまとめと分析がまだ十分ではない。
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今後の研究の推進方策 |
すでに得られた、フィンランドと米国の資料・情報に基づいて、24年度には、日本の資料・情報を収集し、3か国のデータ比較を行う。また、その結果に基づいて、日本における子どもの虐待予防のための看護職の役割のあり方について提言したい。
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