研究課題/領域番号 |
22406037
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研究機関 | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
天谷 真奈美 独立行政法人国立国際医療研究センター, 医療情報解析研究部, 研究員 (00279621)
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研究分担者 |
廣島 麻揚 京都大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (60336493)
小林 悟子 独立行政法人国立国際医療研究センター, 医療情報解析研究部, 研究員 (00389800)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | 社会参加 / 自己効力感 / 精神障害者 / 国際比較 |
研究概要 |
本研究は、精神障害者の社会参加促進に向け、精神障害者の社会参加自己効力感とそれに影響を及ぼしうる関連因子について国際比較により、精神医療保健福祉における有用な示唆を得ることを目的とした。 最終年度にあたる本年は、日中の精神障害者の社会参加自己効力感とその影響する要因について統計解析し、比較検討した。日本の対象者は統合失調症が7割程度を占めている一方で、中国の対象者は統合失調症5割程度であった。また中国の対象者は3割程度の者が常勤職に就いている一方で、日本の対象者は0.3割の者しか常勤職に就いていなかった。 日本と中国の対象者の社会参加効力感尺度得点、自尊感情尺度得点、SOC得点、家族の関係に対する満足度以外の満足度は中国の対象者の得点が日本の対象者より高かった。 社会参加効力感尺度得点を従属変数、社会参加効力感尺度得点と関連のみられた因子を独立変数として投入し、変数減少法で重回帰分析を行った。日本の対象者における重回帰分析の結果、重回帰式のR^2は0.82であり、有意な関連の確認された因子は、自尊感情尺度得点、生活全般の満足度、年収であった。中国の対象者における重回帰分析の結果、重回帰式のR^2は0.78であり、有意な関連の確認された因子は、宗教の有無、生活機能自立度、地域住民および自分自身への満足度、GHQ得点、年収であった。 以上から、日本と中国のどちらにおいても年収が関連因子であり、様々な社会参加の形が認められる一方で、やはり社会に参加していくにあたり、年収あるいは就労の有無という因子は影響要因として考えていく必要があると思われた。また、日本で自尊感情や生活全般の満足度が関連因子であった。そのため、日本においては社会参加に対する自己効力感に限らず、一般性自己効力感を高めていく支援や自尊感情を高める支援が社会参加を進める上で有効である可能性が示唆された。
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