研究概要 |
計算幾何における古典的問題から以下の2題について取り上げた。 (1)円内接多角形問題 「円に内接する多角形の各辺の長さをa_1,a_2,...,a_nとするとき、外接円の半径をこれらの変数の式で表せ」という問題である。今回の補助金によって導入したワークステーションを用いて、すでに2010年度中に六角形・七角形の場合に対する計算に(おそらく世界で初めて)成功していたが、本年度にはこれを査読付論文の形で発表することができた。この結果、本研究の先駆性を示すことができたと考えられる。 (2)シュタイナー環における「デカルトの円定理の拡張」 互いに外接または内接する複数の円からなる「シュタイナー環」と呼ばれる図形には、種々の関係式が成り立つことが知られている。特にn=3の場合に、各半径の関係を表す公式は「デカルトの円定理」と呼ばれている。本研究では、n=4,5,6と計算を進め、それぞれにおける関係式の導出を試みた。半径の間に成り立つ方程式は、それぞれ4次・24次・48次となることが確認できたが、これらの幾何学的な解釈は今後の課題である。
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