研究概要 |
近年,情報科学分野ばかりでなく,工学,化学,医学など様々な分野で列挙アルゴリズムが広く用いられており,その重要性が認識されている.本研究では,この列挙アルゴリズムの基礎的な研究を行うことで,列挙アルゴリズム理論の構築を目指すとともに,実用的でかつ品質保証された高速な列挙アルゴリズムの開発を目指すものである. 本年度においては,これまでに国際会議で発表していた単調論理関数の双対化問題に対する単純な逐次的なアルゴリズム(Bergeアルゴリズム)の評価について論文として取りまとめることができた.単調論理関数の双対化問題とは,単調な論理積形が与えられたとき,それと等価な(簡潔な)論理和形,すなわち等価な論理関数の主項を列挙するという問題である.この問題に対して,与えられた論理積形に現れる節を順に掛け合わせていく方法(Bergeアルゴリズム)がさまざまな分野で用いられている.本研究では,与えられた論理積形中の節をうまく並び換えることにより,各節に高々定数個の変数が含まれる場合や変数の頻度が高々定数個の場合に,多項式時間で列挙が可能であることを示した.また,一般の論理積形に対しても半指数時間で列挙が可能であることを示した, それ以外にも,列挙アイデアを用いることで,非巡回ゲーム形式の特徴付けやカットを許すオンラインナップザック問題の競合比解析に成功した.
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