研究実績の概要 |
近年,情報科学分野ばかりでなく,工学,化学,医学など様々な分野で列挙アルゴリズムが広く用いられており,その重要性が認識されている.本研究では,この列挙アルゴリズムの基礎的な研究を行うことにより,実用的でかつ品質保証された高速な列挙アルゴリズムの開発を目的とするとともに,列挙構造や列挙アルゴリズムのアイデアを用いることにより,列挙以外の問題,たとえば,最適化やオンライン問題などの効率的なアルゴリズム開発を目指した.
本年度は,特に,後者の列挙構造や列挙アルゴリズムで培ったアイデアを他分野の問題に適用して大きな成果を収めている.具体的には,バイバック問題,すなわち,キャンセルコストを考慮に入れたオンライン問題を考察した. とくにキャンセルコストがもともとのものがもつ価値に比例する場合や価値によらず一定の場合を考察し,それらに対して競合比解析ならびにそれらを達成するオンラインアルゴリズムを構成した.ここで競合比とは,オフラインの下での最適値とオンライン状況下で達成できる目的関数値の比をいう.それ以外にも,列挙空間を解析することにより充足可能性問題に対する高速指数時間アルゴリズムを開発した.また,ロバストマッチング、ロバストマトロイド交差、ロバスト独立集合族などに関連するロバスト最適化に関しても成果をとりまとめた.
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