研究概要 |
主要な応用題材のひとつである陰関数描画について、二次元の場合はソフトウェアの設計を済ませ効率のよい実装の開発を進めているが,三次元についてはなかなか良い方策が見つからず理論的な検討を進めている.今後,二次元の場合の効率次第では,二次元に投影しての描画という方策も検討する.そのため,二次元の場合の実装の効率が重要で,機械語利用の一般的手法と実効性能の実験を進めている.これについては,他の基本演算や応用にも活用でき-る.この事とも関連して,CUDA,OpenCL,Streamなどの多様な開発環境を調べ実測するためにGPU機能を統合した小型CPUの計算機も導入した.今後,徐々に調査・検討を進める. アルゴリズムの検討と実装については,先ず,基本演算で効率の良い実装法の定まっていないPNS表現における大小比較・符号判定について精査を進めているが,一部に用いる浮動小数演算の精度と効率の検討が未決である.より上位のアルゴリズムについては,RNS表現の従来からの方法に基づき実装実験を進めた.疎な多項式の補間による決定では,アルゴリズムの一部で高い並列処理効率が実証されたが,一方で組合せ爆発の問題も明らかになっている.これは,GPUでの整数の計算精度不足にも起因するもので,今後,機械語命令による高い精度の計算と多数のコアの利用により,この問題がどの程度緩和されうるのかを検討を進める.また,線形方程式の正確解法について,GPUの性能を発揮させることを目的として,本来は疎行列のために開発されたアルゴリズムの実装を行い,メモリアクセス法の改良等を重ねた結果,行列の疎密に依らずに有効であることが実証できた. 当研究では,実用的な数式の通信方式の開発も行っているが,その最も極端な場合としてタブレットPCでの活用についても検討を行った. 以上について,適宜,口頭発表等と通して対外的に発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属機関における改組に伴う授業や委員の担当.役割の変化と,節電対策への様々な対応の日常の活動への影響が予想外に大きく,研究時間を十分にとることができなかった。 また,GPUやマルチコア向けのソフトウェア開発環境め統合化が進むと予想したが,現段階ではCUDA,OpenCL,Streamと個々に進展し,結果としてこれらへの対応の検討に余計な時間を割くこととなってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
日常業務関連に予想以上に時間をとられたことは,得られた経験を生かすことにより今後はある程度解消されるであろう。 ソフトウェア開発については,世の中に流通する製品群の動向には注意しつつも,当面はCPU向けにはOpenMP,GPUはCUDAに専念することとし,プロセッサ・アーキテクチャの今後に進展についてもこの範囲で対応を考えていくことにする.
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