数学基礎論における証明論の研究者が主な参加者である研究集会『証明論と複雑性』(京大数理解析研究所,2012年9月12日~14日)において「計算の複雑さと証明の複雑さ」と題する招待講演を行った。本課題の研究を通じて得られた知見をふまえつつ重要な未解決問題に対する現状を説明し,証明論と計算量理論の学際領域研究の重要性も説明した。この学際領域の研究を促進する効果ももつ講演ができたと思う。 ストリームにおける重複データ発見の計算複雑さについては,研究集会『Large-scale Distributed Computation』(NII湘南会議,2012年1月12日~15日)において「Complexity of Finding a Duplicate in a Stream」と題する招待講演でも代表者が得ていた結果を説明したが,その後さらに通信計算量の部分の拡張に成功した。既に得ていた結果と拡張をまとめた論文を発表準備中である。 2013年3月13日から19日の期間に開催されたTokyo Complexity Workshopおよび3つのサテライトワークショップについてプログラム委員長をつとめた。証明の複雑さの関係では,Pavel PudlakとRyan O'Donnellによる招待講演を企画した。彼らとの個別議論により証明の複雑さと近似アルゴリズムにまたがる新たな重要問題を特定することもできた。また,彼らを含む研究者たちとの議論によって,Positivstellensetzに関連する問題に関して部分的結果を得ることができた。
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