研究課題
本年度は1次元かつ3近傍以下の場合について、保存的セルオートマトンの数の移動を特徴づけるフロー関数の性質を調べ、主に次の二つの結果を得た。一つ目は、2近傍の保存的セルオートマトンで、非保存な場合も含めた任意のセルオートマトンの効率的なシミュレーションが実行できることを示し、結果として、本質的万能性を有することを示した。今まで、1次元で3近傍以下の近傍サイズの保存的セルオートマトンが万能性を持つかどうかは知られていなかった。雑誌論文1に掲載している。二つ目は、保存性に加えて可逆的な性質を持つ1次元セルオートマトンについて、次の結果を得た。1次元3近傍で4状態以上の保存的セルオートマトンが可逆性も有する場合、今までの予想に反して、新たな性質を持つ規則群が存在することが計算機シミュレーションによる全探索によりわかった。指導学生との学会発表で報告した。この規則を現在までに知られている規則と組み合わせることにより、1次元3近傍の場合に4状態より大きな状態数の可逆かつ保存的セルオートマトンの規則を構成できることがわかった。現在、5状態より大きな状態数の場合の自明でない可逆かつ保存的なセルオートマトン規則を組織的に設計する手法を構成中である。一般に、4状態より大きな可逆セルオートマトン上に何らかの計算手法を埋め込んだ規則を組織的に構成する方法は分割セルオートマトンとよばれる自明な手法以外にはないが、この手法は可逆かつ保存的セルオートマトンの場合に限られるものの、新しい手法として有望である。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
Proc.9^<th> International Conference of Unconventional Computation UC2010, Lecture Notes of Computer Science (Springer)
巻: 6079 ページ: 45-55