研究課題
可逆的な性質を併せ持つ保存的セルオートマトンに関する研究を昨年度に引き続き行った。昨年度 1次元3近傍で4状態以上の保存的セルオートマトンが可逆性も有する場合、新たな性質を持つ規則群が存在することが計算機シミュレーションによる全探索によりわかっているが、さらに5状態までを全探索し、その探索結果をもとに6状態より大きな状態数の場合の自明でない可逆かつ保存的なセルオートマトン規則を組織的に設計する手法を構成した。2近傍の場合には自明なセルオートマトンしか存在せず、4近傍の場合には万能セルオートマトンが存在することがわかっているが、本研究で扱っている3近傍の場合の計算能力は明らかになっていない。しかし本研究から、3近傍の場合でも、かなり複雑な信号の衝突が記述できる可能性があることがわかってきた。昨年度までの研究から、フロー関数の形式による保存的セルオートマトンのモデル化は、規則的な格子上では有効に働くが、ランダムな場合や準周期的といった不規則な格子上ではフロー関数によるモデル化が難しいこともわかってきた。そこで、厳密な意味での保存的セルオートマトンではないが、分割セルオートマトンと言われる、可逆性やモーメント保存性などをモデル化するのに適した枠組みを準周期的なセルの配置を持つセルオートマトンの場合に適用することを試みた。分割セルオートマトンはセルの局所的な相互的な接続関係を利用するが、準周期タイリングのひとつであるペンローズタイリングの場合にその接続関係を求める方法を示し、ペンローズタイリング上で分割セルオートマトンを実行する方法を明らかにした。その手法を用いて、分割セルオートマトンのシミュレータを作成し、可逆的、保存的規則を満たす、自己増殖セルオートマトンのような種々のセルオートマトンが準周期タイル上でも実現できることを示した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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International Journal of Networking and Computing
巻: 3-1 ページ: 170, 180
Fundamenta Informatica
巻: to Appear ページ: 1, 16