研究概要 |
本研究は,システムの遷移系モデルを自動的に簡約化する方法論を確立することを目的とする.緩クリーニ代数を用いると,「遷移系=項,双模倣関係=等式」として扱うことが可能である.本研究では,緩クリーニ代数の項を(等価性を保ちながら)自動的に簡約化する手続きを明らかにすることにより,目的の達成を目指す.簡約化手続きは,自由代数の具体的構成法から導かれると予想される.今年度は,自由緩クリーニ代数の具体的な構成を明らかにすることを目標に取り組み 1.緩クリーニ代数の部分クラスである*-連続なべき等左半環とD-連続なべき等左半環の間にある種のイデアル完備化によって随伴関係が得られるための十分条件およびこれが一般には成り立たないことを示す木言語を用いた具体例 2.緩クリーニ代数の部分クラスである完備べき等左半環が二項関係および二項多重関係によって表現可能であること 3.木言語の部分クラスと木オートマトンの部分クラスの間にある種の対応付け(クリーニの定理)が成り立つこと を示した.成果1は,学術雑誌Bulletin of Informatics and Cyberneticsに掲載されることが決まっている.成果2についてはイギリスで開催されたWorkshop on Lattices, Relations and Kleene Algebrasにおいて報告した.成果3については現在論文にまとめている最中である.上記の結果はいずれも,自由緩クリーニ代数の構成を明らかにする重要な手掛かりを与える
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