研究課題/領域番号 |
22500018
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
斎藤 明 日本大学, 文理学部, 教授 (90186924)
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キーワード | グラフ / 禁止部分グラフ / 誘導部分グラフ / 連結度 / 完全グラフ / スター |
研究概要 |
連結グラフの集合Hに対し、Hのどの要素も誘導部分グラフに持たないグラフはH-フリーグラフとよばれる。与えられたグラフの性質Pに対し、「有限個の例外を除き、任意のH-フリーグラフは性質Pを満たす」という命題を満足させるHを決定する問題は禁止部分グラフの問題とよばれ、グラフ理論において活発に研究されている。ところがもしH-フリーグラフ全体のなす集合が有限集合になると、上記の命題はPによらず真となり、特定の性質Pに何ら知見を与えない。すなわちこのような集合Hは禁止部分グラフの研究において雑音となる。こうした雑音は予め除去しておくことが望ましい。本研究は、このような有限集合を生成する禁止部分グラフの集合Hの特定を目指している。初年度は連結グラフのクラスの中で考え問題を解決した。そこで本年度は連結度が高いグラフのクラスで問題を考えた。その結果、以下の結果を得た。 ・連結度がどれほど高いグラフのクラスにおいても、1個のグラフを禁止して有限集合を生成しようとするならば、そのグラフはK2に限る。 ・連結度がどれほど高いグラフのクラスにおいても、2個のグラフを禁止して有限集合を生成しようとするならば、その2個は完全グラフとスターの組み合わせに限られる。 後者の結果については、連結度が2から6までの範囲について実際に有限性を保証する完全グラフとスターのペアを決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定では、本年度は2-連結グラフのクラスにおける知見を得ることを目指していた。ところが研究を進めてみると、連結度が2以上の状況では禁止部分グラフの振る舞いに大きな変化がなく、より高い連結度における知見が得られた。特に6-連結グラフまでは、有限集合を生成する禁止部分グラフのペアを完全決定することができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究が2年度まで進み、当初の予測をやや上回る知見を得ている。最終年度は有限集合が生成された場合において、その集合の位数の評価を目指す。今まで得られた知見により、有限集合が生成される場合、そこに属するグラフの局所構造に強い制約が課せられることが分かってきている。おそらく有限集合となる大半の場合において、実はその集合は空集合ではないかと予想される。逆に空集合でない場合、その要素となるグラフは非常に高い対称性を持つはずである。この点について、既に予備的研究を開始している。
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