研究概要 |
本研究は交差グラフにおける離散最適化問題のための効率的アルゴリズムの構築を目的とし,以下の二つの課題を扱う. 第一に交差グラフの一種であるTrapezoid graphにおけるFeedback節点集合問題の効率的アルゴリズムの開発を行う.その手法としてTrapezoid graphを極大クリークの集合と長さ4の閉路に分割し,各極大クリークから閉路を構成する最小の節点を削除する方法を用いることで,計算量O(n^2)+α時間の効率的アルゴリズム実現を目指す. 第二に同じく交差グラフの一種であるCircular permutation graphにおける関節点問題および要節点問題の最適並列アルゴリズムの開発を行う.その手法としてCircular permutation modelの展開拡張モデルを構築し,既存の並列アルゴリズムを応用・適合させる方法によって,仕事量O(n^2)の最適並列アルゴリズム実現を目指す. これらのアルゴリズムは大規模ネットワーク構造を有するシステム上の信頼性,安定性,頑健性の向上などに応用可能である.また,これらの離散最適化問題は大規模なグラフに対しては膨大な計算時間を要する問題であるが,対象グラフを交差グラフに限定することで計算時間を抑える研究が精力的に行われてきている.よって,本研究はグラフ理論分野での計算量理論からの視点でも興味深いテーマであり,実践的な応用と計算理論上の進展の両面から意義がある. 平成22年度は,Circular permutation graphの全要節点を導出する効率的アルゴリズムの構築に注力した.これまで知られていたPemutation graphの科豆節点問題アルゴリズムの不備を指摘し適切な修正を行った.この成果はInformation Processing Letters誌に投稿し,我々の見解が正しいものと認定され採録が内定した.
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