| 研究概要 |
本研究では,細粒度レベルのソフトウェア開発者の行動パターンを複数文脈の交錯する記号列として扱い,それを形式的手法を用いて解析し評価することで,個人およびチーム規模でのソフトウェア開発プロセスの自動的な分析・評価を行うシステムを開発する.本研究の成果により,開発者らに大幅な負担を強いることなく,短納期・反復型の開発プロセスを従来よりも飛躍的に詳細なレベルで,効率よく行う改善することが期待できる
平成22年度には特定ソフトウェアの保守プロセスに限定して,プロセスモデルの検討と分析ツールの試作を行った.具体的には,オープンソースソフトウェアWxWidgetの開発リポジトリより保守フェーズにおけるバグ追跡システムのログデータとソースコードの改変履歴データを得て,デバッグプロセスを単純な有限状態遷移図でモデル化し,モデルと実際の開発データとの間の照合可能性について検討を行った.特徴点として,例えば,繰り返し修正が行われるものの,なかなか解決されない障害,あるいは,長期にわたって作業が滞ったり,対処されずに放置された障害などについて着目し,プロセスの振る舞い的な観点からの特徴(状態の遷移回数や遷移の時間間隔など)を定量化し,それらと実際のソフトウェア品質や作業対象となったバグの複雑さとの関連の有無を実際に検証した結果,有意な差を見いだした
本実験にあたっては,小規模プロセスに対象を限定した,細粒度プロセス評価ツールの試作を行った.本ツールを用いて平成23年度以降に,大規模なプロセスを対象とした実験を行うこととし,その際の問題点について予め評価・検討を行った
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