本研究では,細粒度レベルのソフトウェア開発者の行動パターンを形式的手法を用いて解析し評価することで,個人およびチーム規模でのソフトウェア開発プロセスの自動的な分析・評価を行うシステムを開発することを目的としている.24年度は22~23年度に実施した特定ソフトウェアの保守プロセスを対象としたプロセスモデルの検討と分析ツールの試作の成果を元に,以下の研究を行った 1)プロセス内で派生した微細プロセス群をもとにした複雑度メトリクスとそれに基づいて組織固有の品質予測モデルを構築するモデルを構築する手法を提案し、当該プロジェクトのデータによる評価を行なった。さらに、これまでの提案内容をシステム的に統合することと、それらの有効性を示す為の実証実験の積み重ねに引き続き取り組んだ。またこれらの成果について改めて論文化を行ない、国内論文誌に発表した。 2)保守プロセスにおけるプログラム修正のための微細プロセスと当該修正箇所の複雑さとの関連に関する成果を整理し、海外ジャーナルに発表した。 3)関連技術である、プログラム分割等による機能抽出を自動的に行う手法の改善とツールの実装・有効性の評価を行った 4)レビュープロセスや保守プロセスにおけるコミュニケーションを対象にソーシャルネット分析やトピック抽出と行った解析技術を併用することで、より具体的なプロセスを得る手法について検討を行い、ツールの試作を行った。 今後はこれらの成果をより高次に統合することでソフトウェア開発プロセスを複数視点により自動的に評価する環境へとまとめていく予定である。
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