研究概要 |
本年度は,データ計測システムの改良,および,データ可視化システムの開発を行い,開発したシステムのバージョン1.0.3をWebサイトhttp://taskpit.jpn.org/にて公開した.データ計測システムの主な改良点は,(1)タスクの詳細なログ(実行ファイル名,ウィンドウ名)の出力機能を付けた,(2)ログ出力において,登録外のタスクの分析を可能とした,(3)成果物の計測ポリシーの変更(システム起動時からの増減を出力するようにした),(4)基準時刻の廃止による利便性の向上,などである.また,可視化システムの開発にあたっては,.計測結果を表示する多種多様なグラフをタブによって切り替え可能とし,グラフのX軸(表示期間)をデータ計測期間に合わせて柔軟に設定できるようにした.また,グラフのY軸は,X軸に応じて最適な単位(分,時間など)が自動で選ばれるようにした.さらに,ソフトウェア開発企業における利用を想定し,作業日報を出力する機能を設けた.この機能により,企業におけるソフトウェア開発作業において,開発計画と現実の作業を比較することが可能となり,開発プロセスの改善に役立つと期待される. また,開発したシステムを用いて,実際のソフトウェア開発におけるデータ計測を行った.データ計測にあたっては,各タスクの実測時間のみならず,計画時間,および,タスクに要した推定時間のデータも収集することで,システムによるデータ計測の効果を明らかにした. さらに,開発システムを協力企業にて使用していただき,協力企業のご厚意により(無償にて)補助ツールTaskVieweRの開発,および,クイックガイドの制作をしていただいた。協力企業の許可を得て,これらのツールとクイックガイドもWebサイトhttp://taskpit.jpn.org/にて公開している.
|
今後の研究の推進方策 |
システムの利便性の向上,および,多言語対応を行うとともに,ユーザマニュアルを作成し,さらなる普及を進める.また,計測データを分析し,システムの有効性を評価する.特に,タスクの実測時間,計画時間,および,タスクに要した推定時間を用いて,システムを継続して使用した場合の効果を評価する.さらに,計測によるソフトウェア開発プロセス改善のノウハウをガイドラインとしてまとめる.ガイドラインでは,タスクの定義の仕方に関するノウハウをまとめるとともに,システムの利用シナリオと事例をまとめる.
|