研究課題/領域番号 |
22500029
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田岡 智志 広島大学, 大学院・工学研究院, 助教 (80274116)
|
キーワード | グラフ理論 / グラフの辺連結度 / グラフの点連結度 / 確率ネットワーク / ネットワーク信頼性 / 近似解精度 / アルゴリズム設計 / ベクター加算システム |
研究概要 |
信頼性を向上させるための情報ネットワーク構成法を研究の主対象とする。本研究は次の2段階に分けて研究を推進する。(1)ネットワーク最適化問題に着目し、耐故障性に関する理論的基礎(特性化や理論上高速な解法の開発)の充実、計算機実験に基づいて実用面を考慮した高性能な逐次・並列・分散解法の開発を行う。(2)これらの結果を、故障確率を考慮したネットワークの信頼性評価や構築方法に相互利用し、より複雑な通信形態に拡張した、つまり、実際の情報ネットワークにより近い状況における定式化、特性化、信頼性の評価方法、そして実用性が高い構成方法の開発を行う。今年度は、主に(1)のネットワーク最適化問題に関する研究に重点を置き、基礎を充実させた。具体的な成果としては、以下の通り合計で研究論文8件の出版がある。 (1)ネットワーク構成、運用に関連する基礎的研究 (a)所望の辺連結度を持ち、かつ辺数が最小のグラフ構成法に関する砺究(3件)。(b)グラフの点彩色問題に関する研究(1件)。(c)実用的なスケジューリングに対する解法の高精度化および高速化に関する研究(1件)。これはネットワーク運用で必要なスケジューリングに関係している。(d)ペトリネット(ベクター加算システムの具体的モデル)に関する研究(2件):指定した2つのベクトルに対し、一方から出発して他方に出来るだけ近いベクトルへ遷移する手法に関する研究、および最適初期資源配分問題の解法に関する研究。これらはネットワーク運用・スケジューリングに関係している。 (2)ネットワークの信頼性評価や信頼性向上のための構築方法に関する研究 確率フローネットワークの点容量割り当てと信頼性に関する研究(1件)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ネットワーク構成、運用に関連する基礎的研究についての成果は順調に得ることができ、雑誌論文や研究発表にて公表した。これには、ネットワークの信頼度を向上させることに直結した耐故障性を向上するネットワーク構成法に関する成果も含まれている。ネットワークの信頼性評価や信頼性向上のための構築方法に関しては、他の研究者による既存結果よりも高速な解法、さらに構築コストを考慮した拡張問題に対する高性能な解法を開発し公表した。しかし、これは、信頼度向上に関して積極的に取り組んだ解法になっていないため、より現実性のある信頼性評価方法の構築と共に信頼度向上を直接目指した解法の開発が望まれる。
|
今後の研究の推進方策 |
ネットワーク構成、運用に関連する基礎的研究についてはこれまでと同様に成果を積み上げていくと共に、ネットワークの信頼性評価や信頼性向上のための構築方法に関する解法のさらなる高性能化を図る。そして、ネットワークの信頼度評価方法に関して、より現実性のある構築方法について研究を進める。そのためにも、実際のネットワーク環境についての調査および関連研究の調査を行うことで、本研究の方向性をより明確にすることを最優先に行う。そして、これまでに得た成果および本研究で得た成果を総合的に利用して、実際の情報ネットワークにより近い状況における定式化、特性化、信頼性の評価方法、そして実用性が高い構成方法の開発を行う。
|