研究概要 |
サービス指向システムは,すでにネットワーク上に分散して存在するサービスを連係させることにより動作するシステムである.各サービスは多くの場合第三者が開発・管理しているため,アクセス不能状態などにより,サービスをそのまま利用し続けられなくなることがある.このような場合でも,システムを利用し続けることは重要である.本研究では,サービス指向システムが利用しているサービスに,その利用に関わる状態に変化があったとき,サービス指向システムとして利用し続けられるような環境を提案し,構築することを目的とする. 平成23年度は,主に二つの角度から研究を行った.一つ目はサービスの状態変化の検出の提案である.具体的にはインフラストラクチャレベルでQuality of Service(QoS)をモニタリングし,データを蓄積する.蓄積したデータの傾向を見て,サービスの状態が変化したか否かの判断をする.インフラストラクチャとしてはオープンソースのMule Enterprise Service Bus(ESB)を利用し,QoSとしては応答時間,可用性,実行成功率の三種類を対象にした.本年度の研究の二つ目は,蓄積したデータを利用して,動的に別のサービスを選択する手法の提案である.まず前提として候補となっているサービスがクラスタ分類されているとする.従来の方法では,新たに選択する場合,クラスタを一から計算しなおすことによりクラスタを再構築してからサービスを選択していたため,サービスを組み替えるまでに時間がかかる,そこで,クラスタを一から計算しなおさず,現状のクラスタ情報からQoSの制約を充足するサービスを選択する.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,今までに一つのサービス選択手法を提案しているが,それがほかの手法と比較してどのぐらいよいのかの検討が必要である.文献調査だけではなく実験の実施を検討している.また,サービスの選択をした後,実際にサービス指向システムに動的に組み入れる必要がある.後者が2012年度の研究の最大のテーマである.
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