1.平22年度の研究目標 今年度の研究目標は、これまで我々が開発してきた、グラフの媒介中心性の計算アルゴリズムの改良にあった。従来の媒介中心性の計算アルゴリズムでは、全てのノードを始点に、単一始点最短経路を求める形になっていた。それに対し、我々のアルゴリズムの特徴は、新たな始点からの最短経路を、計算済の経路から算出する方法であり、この結果、我々のアルゴリズムは、特殊な性質を持つグラフに関しては、従来のアルゴリズムに対して有効である事が数値実験によって示されていた。しかし、その有効範囲や、また、解析的な振る舞いが示されていなかった。そこで、本研究では、その点を明らかにする事を目標としていた。 2.平成22年度の研究成果 今年度の研究の結果、我々は、その性質が良く知られている、極大平面グラフを対象にした場合の新しいアルゴリズムの考案とその性質を得る事ができた。これは、これまでの我々の方針である、既存の計算結果を再利用するという方法を適用する際に、極大平面グラフに於いては、再計算の対象となる部分が帯状になるという性質を利用している。このように、この新しいアルゴリズムでは、対象のなるグラフの性質を明示的に利用しているために、これまでの我々のアルゴリズムに比べ、高速かつ、解析的な結果が得られるという利点が得られ、一応の研究の目的が得られた結果になっている。この結果は、平成23年に発表を予定している。しかし、この結果は、対象を限定した形であり、今後もより一般的な対象に対しての研究の継続が必要である。
|