研究概要 |
本課題では,前年度までの研究成果に立脚し,次の三つの重点研究項目について要素技術を統合しツール化するための研究開発を実施した.前年度までに構築したソフトウェアのソースコードインスペクションツールを,保守性向上を目的として改良し,確率的言語モデルを採り入れたインスペクションの実装の受け皿を整備した.さらに,本研究課題と深く関係するソフトウェア進化研究に関して包括的な文献調査を行うことで,本研究の位置づけを明確にした(a)ソフトウェアコーパスの構築に関する研究では,オープンソースリポジトリ解析などを利用したソフトウェア進化研究の文脈における,ソフトウェアコーパスの位置づけを明確にするために,進化研究の包括的な文献調査を行ったこの中で,フォールトプローン解析手法やデバッグ手法,テストケース設計手法における確率モデルの利用動向やソフトウェアコーパスの構築方式などを調査した. (b)確率的言語モデルの構築に関する研究では,確率モデルを利用した検査の実現に向けて,前年度までに構築したソースコードインスペクションツールにおける,検査パターン記述方式の改良を行った」また,ソフトウェアアーキテクチャの保守において確率モデルを導入・利用する方式について検討を行った. (c)開発支援ツールの整備に関する研究では,(b)で改良した検査パターン記述を実際のソースコード検査につなげるために,インスペクションツールの改良を行った.実装したツールは,確率的言語モデルに基づく解析機能を組み込む基盤環境として今後も利用と改善を継続する.
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に示す通り,引き続き次の三つの重点研究課題に対して調査,研究,開発を継続する. (a)ソフトウェアコーパスの構築に関する研究:オープンソースリポジトリの解析方式の研究・開発 (b)確率的言語モデルの構築に関する研究:ソースコードおよび設計モデルに対する確率モデル構築と評価 (c)開発支援ツールの整備に関する研究:インスペクションツールの保守と改善,アーキテクチャ評価 加えて,今年度において新たに着手したソフトウェア進化に対する調査研究を推進し,内外の最新研究開発動向と比較した本研究の有用性・優位性について明らかにし,本研究のとりまとめを行う.
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