研究概要 |
平成23年度には,パンケーキグラフPnにおいて直径2のクラスタ故障がk個あることを仮定し,(n-k)/2個のノード対間で互いに素な経路を求める経路選択アルゴリズム(CP),n-k-1個のノードとn-k-1個のノード間の互いに素な経路を求める経路選択アルゴリズム(CS2S)などの開発を目指した.いずれもアルゴリズムの中核は順調に開発することができ,現在,実装による検証中である.これ以外に,部分列反転グラフSSRnにおいて内素な経路を求めるアルゴリズム(N2N),および1つのノードとn(n-1)/2個のノード間の素な経路を求めるアルゴリズム(N2S)を開発することできた.さらに,完全階層型ハイパキューブHHCm(ただし,mは2のn乗プラスnである)において,1つのノードとn+1個のノード間の素な経路を求めるアルゴリズム(N2S),およびn+1個のノードとn+1個のノード間で互いに素な経路を求めるアルゴリズム(S2S)を開発することができた.いずれも,今後,耐クラスタ故障アルゴリズムへの拡張を予定している.これ以外の成果として,ハイパキューブQnにおける耐故障経路選択アルゴリズムを開発した.このアルゴリズムでは,確率構造を導入して,最短経路上の隣接ノードのうち,最も到達確率の期待値が高いものを選択して,メッセージを転送する.提案手法により,故障要素数が大きい場合,従来のアルゴリズムより大幅に良い到達率を達成することができた.このアルゴリズムについても,次年度以降耐クラスタ故障への拡張を試みる予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り,アルゴリズムの開発に成功している.また,部分列反転グラフ,完全階層型ハイパキューブなど計画になかった位相に対する基本アルゴリズムについても開発することができ,研究が大きく展開する可能性がでてきたため.
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今後の研究の推進方策 |
個別に発見された新たな知見を活かして,最終年度は統合に向けた作業を中心に行う.その際,新たに得られた知見が多いので,統合作業に組み込むものと,研究テーマとして有望なため,今後の課題として残しておくものとの選別を慎重に行う.
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