計算グリッドは高性能計算環境として魅力的なものであるが,必ずしも一般ユーザにとって使いやすいものとなっていない.そこで本研究では,アプリケーション実行時におけるサーバの適切な動的切り替えを自動化するシステムを構築するために必要な機能を明らかにし,これを実現するミドルウェアを開発することを目的としている. 平成22年度と23年度は自動的なサーバ切り替えの機能の検討の結果として省電力化機能の重要性を認識し,グリッドサーバの切り替えを行う省電力化スケジューリング手法を開発するとともに,ローカルサイトで発生したタスクをリモートサイトのサーバ群に割り当てる際に必要となるスケジューリング手法の開発を行った.また,グリッドシステムの利用にあたって,ミドルウェアのインストールの手間を少なくすることが必要であることを強く認識した. 平成24年度は新規に開発すべき機能の検討し実現することを計画していた.そこで本年度は,グリッド環境において,ローカルサイトで発生したタスクをリモートサイトのサーバ群に割り当てる際に必要となる仕組みとして,特殊なミドルウェアのインストールなしに実現できる手法を検討し,開発を行った.本手法の特徴は,利用者は新たなミドルウェアやプラグイン等のインストールを一切必要とせずに既存のWebサーバとWebブラウザの連携により,タスクの投入,実行,実行結果の提示を行えるようにする点にある.また,ハートビートにより,リソースとなるリソースの参加脱退検知機能を取り入れリソースの利用可能状況を検知できるようにした. なお,本研究課題に関連して修士課程学生の研究指導を行い,当該学生は「グリッド環境の動的な変化を考慮したWebベースPCグリッドシステムの研究」と題する修士論文を作成し修士学位を取得した.
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