研究概要 |
本研究では,システムLSIの故障検査の問題についての問題を扱っている.社会に普及している様々な電子機器・情報機器の高信頼化を実現するためには,内部に含まれるシステムLSIの高信頼化が不可欠であり,その故障検査の重要性が高まっている.特に近年,従来の考えられて故障モデルだけは不十分であり,新たな故障モデルへの対応が求められている.そのようなものの一つが,クロック信号線上の故障である. 平成22年度は特に,クロック信号線上の遅延故障についての問題に取り組んだ.まず,そのような故障が存在した場合の回路動作について,現在主流となっている高速テスト法の一つである,ローチオンキャプチャテスト法を適用した場合について,理論的考察および回路シミュレーションによる考察を行った.その結果,次のような知見が得られた. ●クロック線上の遅延故障の影響が現れるのは,システムクロックでの高速動作中である. ●多数のフリップフロップが影響を受ける場合の故障検出は容易であり,1つまたは2つのフリップフロップが影響を受ける場合については,テストパターン個別に生成する必要がある. 以上の知見を元に,クロック線上の遅延故障に対するテストパターン生成法を検討した.ここでは,既存の縮退故障用テストパターン生成ツールを利用することにより,効率よくテストパターン生成を行うことを実現した.縮退故障用ツールを利用するために,テストパターン生成時のみ回路に小数のゲートを付加し,クロック線の遅延故障の検出条件を縮退故障の検出条件に変換することで,目的のパターンの生成を可能にした.
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