研究概要 |
本研究テーマは,次世代システムLSIの製造技術の微細化に伴い困難になってきたタイミング保障のため,(a)物理仕様推定用のプロト物理設計法,(b)推定と整合性をもつインクリメンタル物理設計改善法,および(c)システムLSI設計フローによる評価で構成し,23年度は,サブテーマ(a)の更なる高速化に向けた超高速配線法と(b)の再配線設計を試みて,以下の成果を得た. (a)物理仕様推定用のプロト物理設計法の研究 本サブテーマである高速配置法と連携する超高速配線法について,22年度の検討に基づく配線手法の実装をさらに検討し,L型経路および逆L型経路という単純形状を用いた高速多層配線手法を考案し,提案した.実験により配線領域80×80グリッドでネット数N=30,50,80,100の回路では,従来の迷路配線法に比べて,最大20倍以上の高速化が達成され,推定用配線にもかかわらず50%以上のネットで正規の詳細配線経路を得ることが確認され,推定用超高速配線として十分な精度と速度が得られた.また,これらの性能評価を公開した[論文発表3件,学会発表2件] (b)推定と整合性をもつ配置改善法の研究 VLSI設計フローの3フェーズ「機能設計」「論理設計」「物理設計」のインクリメンタル設計判定をする配置ECO改善限界の推定法に基づいて,これを検証する実ECOの比較実験の副産物となるECO配置システムの実装化と高速化をおこなった.[学会発表1件].
|
今後の研究の推進方策 |
超高速配置配線に基づく研究において,近年GPGPU(グラフィックカードを用いた汎用並列計算)を用いた高速化により更に大規模および短時間の物理設計推定が可能になる.システム設計フローでの評価に加え,アルゴリズムの並列化への展開やその可能性についても推進するつもりである.これらの実装にともなう工数発生は,校費研究費等で吸収する予定である
|