研究概要 |
研究代表者が開発を続けてきた,新しい方式に基づくネットワークシミュレータ(mfa)について,従来から使われているパケット方式のシミュレータとの比較を行い,成果を2件の論文(内1件はシンポジウム)として発表した. 本方式では比較対象とした従来型のネットワークシミュレータBooksimと,種々のサイズのネットワークを用いて統計的手法による比較を行なった.本方式でネットワークの性能を見積もるうえでは,FatTreeなどの通信のホップ数の小さいネットワークでは比較的精度の高い結果が得られるが,辺の長さの長いmesh・torusでは,誤差が大きくなることが示された.ネットワーク中のスイッチでのアービトレーションモデルの違いによる差は,アービトレーションの段数が多くなるほど大きくなるためである.この誤差を小さくする方法の検討は今後の課題である. 一方,1万ノード以上の大規模な構成で,従来型のシミュレータの1~2%の処理時間とメモリ使用量でシミュレーションが行え,大規模なネットワークのシミュレーションが現実的時間で行えることを示した. シミュレーション結果の可視化に関しては,初期的な検討を行った.従来から用いられていた時系列に通信の端点同士を表示する方法に加え,ネットワークのトポロジと通信しているノード間の関連をグラフィカルに表示する方法を組み合わせる方式を考案した.複数の表示方法を組み合わせることにより通信の状況を総合的に解析できる.この方式に基づいたツールの設計を行い,全国大会にて発表した.
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