研究概要 |
ビデオ映像の配信に際しては,それを再生するデバイスの種類と視聴する個人の特性を考慮することの重要性が増してきている.特にユーザが両眼立体視映像をごく自然に知覚するためには,画面のサイズおよび視聴者のディスプレイからの距離と,カメラで撮った左右の映像の視差角が対応している必要があり,さまざまなデバイスや視聴距離に対応させるためには,それらに適した視差角で撮られた両眼立体視ビデオを再生する必要がある. 本研究では,ユーザの表示デバイスからの距離と,測定した視力に基づいて,再生するビデオの視差角と解像度を最適化するためのビデオ撮影・表示方式を提案している. 提案手法では,人間の左右の目の間の距離を1とし,カメラ間の距離がそれぞれ4, 1, 2 の間隔で配置された4台のカメラで撮影したビデオ映像を同時に配信し,表示側で適切な組み合わせを選択することで立体視効果の強さを6段階に切り替えて両眼立体視対応ディスプレイに表示する.適切な視差角は,ユーザの視点から見たビデオの画角に依存するため,提案システムでは3Dメガネに取り付けたARマーカを視聴デバイスに取り付けたカメラで読み取ることにより測定し,ユーザが視聴位置を変えても自動的に最適な視差角に調整している. ユーザのディスプレイからの距離と測定したユーザの視力に基づいて,再生する両眼立体視映像における左右それぞれの目に提示されるビデオの視差角と解像度を最適化するシステムを構築し,実験を行ってその有用性を確認するとともに,ユーザの満足度を損なうことなく必要帯域を削減するビデオ配信手法の実現のための知見を得た.
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