研究概要 |
本研究課題では,ネットワーク管理者の作業をほとんど必要としない形でユーザがネットワーク資源を確保することができるネットワークアーキテクチャモデルの構築を目的としている.平成22年度は,事前のネットワーク設定が必要なVLANの設定を行わず,通常のレイヤー3の経路制御に従ったインターネットを利用する形で,非圧縮ハイビジョン映像の伝送環境の構築に取り組んだ.レイヤー3での伝送が可能になれば,VLANを利用する時に必要である膨大な設定や工数が不要となる.また,レイヤー3での動的な経路制御の恩恵を受けることが可能になり,経路障害発生時の迂回や経路増強時の経路改善変更など,有効に働く経路制御を映像データ伝送に活用することが可能になる.レイヤー3でのハイビジョン映像伝送環境を構築するために,実際に使用する伝送経路に対して,公表されている帯域と実際のネットワーク機器への調査を行い,映像データの伝送が可能であることを確認しなければならない.このため,利用可能なネットワーク経路の事前設定しておき,映像伝送時に経路の利用可能状態を逐次計測し,レイヤー3の機能により経路を動的にすばやく変更することができるよう,パラメータ設定を行う機構を構築した.また,ネットワークの輻輳時に伝送される映像の乱れを最小限に抑えるため,パケットマーキング機構およびパケット優先破棄機構を構築した.このパケットマーキング・パケット優先破棄機構とレイヤー3が持つ動的経路選択機構を併せることにより,非圧縮ハイビジョン映像が乱れや途切れることなる伝送可能であることが,実証実験により確認できた.
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