研究課題
本課題では、故障ノードや改ざんノードを含むモバイルセンサネットワークに対して、「ネットワークシミュレータ」と「実験用センサネットワーク」の両方を用いて、異常検出・修復の課題に取り組む。昨年度は、免疫型診断モデルと統計的経路上フィルタリングを組み合わせた「免疫型統計的経路上フィルタリング」を提案し、その有効性を確認した。今年度は、その提案手法による異常検出性能に対して、パラメータ条件の異なる様々なシミュレーションおよび数学的解析を行った。そして、実験用ネットワークにおいて提案手法を実装し性能を評価した。一方、ノード修復については、既存手法の検討およびプログラム作成を行った。異常検出に対しては、改ざん鍵の個数など攻撃条件を変え、提案手法に固有の信用度の増減パラメータを変更しながら、改ざんノードが送出する偽造データを提案手法がどれだけ検出・破棄できるかを調べた。提案手法の詳細な検出性能が明らかになったとともに、信用度の増減パラメータに対して性能の相転移が観測された。また、数学的解析により数式モデルによる結果がシミュレーション結果とほぼ一致することを確認した。さらに、改良フィルタリングであるマルチパス方式と提案手法を組み合わせて性能評価を行った。これらの結果を逐次整理して雑誌論文Artificial Life and Robotics、ACM主催の査読付き国際会議MEDES'11、そして学会発表AROB 17thにて発表した。一方、異常修復については、故障ノードに対して移動ロボットが交換・修復を行う既存研究に対して、問題点を洗い出し、シミュレータ上でのプログラム作成を行ったが、具体的な改良手法の提案には至らなかった。今後は、免疫系の仕組みを参考にした独創的な改良手法を考案し、既存手法との比較により提案手法の有効性を明らかにする必要がある。
3: やや遅れている
実験用ネットワークの構築と提案手法の実装に予想以上に時間を有し、また異常検出性能の詳しい調査に専念したため、異常修復の方の研究がやや遅れている。
免疫系の仕組みを参考にした新しい修復手法を早急に考案し、提案手法の実装・実験・検証を迅速に行う。そのために、本研究に協力してくれる大学院生を研究室内で募り、シミュレータ上と実験用ネットワーク上での実験を並列的に行う。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
Artificial Life and Robotics
巻: Vol.16, No.3 ページ: 422-425
DOI:10.1007/s10015-011-0969-x
Proceeding of the International Conference on Management of Emergent Digital EcoSystems
巻: Vol.3 ページ: 250-256
DOI:10.1145/2077489.2077536