本課題では、故障ノードや改ざんノードを含むモバイルセンサネットワークに対して、「ネットワークシミュレータ」と「実験用センサネットワーク」の両方を用いて、異常検出・修復の課題に取り組む。昨年度は、提案手法である「免疫型統計的経路上フィルタリング」に対してパラメータ条件の異なる様々なシミュレーションおよび数学的解析を行い、ノード修復について既存手法を調べた。今年度は、提案フィルタリングをより実用的な環境でシミュレーションし、既存手法に対する提案手法の有効性を示す一方で提案手法の問題点を確認した。一方、ノード修復については、二つのネットワークシミュレータ上でプログラム作成を行った。 異常検出を行うフィルタリングに対しては、これまでの環境設定が改ざんノードだけからの単一転送ルートであったのに対して、複数の転送ルートがあり、正当データと偽造データが混在する環境での追加シミュレーションを行った。その結果、提案手法が既存手法より短い転送段階で偽造データを破棄できることを確認した。その一方で提案手法の性能の悪化も観測された。これらの結果をコンピュータセキュリティシンポジウム2012にて学会発表した。 一方、異常修復については、故障ノードに対して移動ロボットが交換・修復を行う手法に対して、自作の簡易ネットワークシミュレータおよび市販の高速かつ高精度なシミュレータQualNet上でのプログラム作成を行った。そして、既存手法では場合によっては修復作業が集中すること、ロボットの保持できるノード数が無限であるなどの問題点を洗い出した。プログラム作成に予想以上に時間を要したため、この結果を今年度中に学会発表できなかったが、25年度には発表予定である。
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