研究概要 |
本年度は大規模ワイヤレスセンサネットワークにおけるセキュア分散転送のための経路作成法の各種の攻撃手法に対するセキュリティ耐性の計測と各種の攻撃手法に対応する経路制御手法の改良について下記の通り研究を推進した. 1.各種の攻撃手法に対するセキュリティ耐性の計測 平成23年1月に学術論文として掲載されたセキュア分散転送では主にノードキャプチャ攻撃に対する対策としての秘密分散法の適用と経路制御方式について述べている.ワイヤレスセンサネットワークでは,盗聴など,他の攻撃方法がある.本年度は経路制御時のパケット盗聴の後偽造パケットを送付する手法について,本研究課題において平成22年度で作成したシミュレーション環境を応用し,攻撃手法に対するセキュリティ耐性を計測し評価した.また,ワイヤレスセンサネットワークとの類似性が指摘されているP2Pネットワークにおいても分散された情報の伝達速度の制御手法について提案を行った. 2.各種の攻撃手法に対応する経路制御手法の改良 平成22年度で研究発表を行ったセキュア分散転送について,より大規模なネットワークに対応するため,複数経路をセキュア分散転送に用いるだけではなく,局所的な故障ノードの存在に対し,迂回経路を設定することによるパフォーマンスの改良手法を提案し,評価を行った.また,セキュア分散転送では秘密分散法のみに起因するセキュリティ確保と故障耐性を計測していたが,故障耐性については経路制御時の迂回経路を積極的に活用することでセキュリティ確保と故障耐性の両立が可能な手法として経路手法を改善できた. 今年度の研究結果は学術論文,国際会議などで発表を行った.
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今後の研究の推進方策 |
セキュア分散転送は、ネットワークが大規模化しても転送データの安全性を向上させる手法として用いることができることを平成23年度内の研究成果によって明らかにした.今後の研究方向として,研究代表者らは無線センサネットワークと類似性を持つP2Pシステムを参考にしながら脆弱性を回避しつつ経路作成を行うための手法の提案に向けて研究を進めて行く予定である.本研究課題で得られた結果はワイヤレスセンサネットワークのみならず,一般のアドホックネットワークやP2Pネットワークへの適用が可能であると思われる.この点についても研究を進めてゆくつもりである.
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