研究課題
前年度に引き続き、携帯端末を用いて様々な状態の加速度データを取得した。この状態には、歩行、走行、スキップ、階段上り、階段下り、静止状態を含む。さらに、それぞれの状態に対して、携帯端末を手に持ち画面を見ている状態、手に持ちその腕を振っている状態、ポケットの中にある状態などを分けてデータを取得した。これらのデータをもとに、学習を行い、状態推定を行えるかを検証した。前年度では、ある程度の精度での状態推定が可能であったので、今年度は推定処理を軽量化する手法に注力して検討を行った。検討の内容は以下の通りである。1.前年度の結果より、歩行などでは、加速度データを切り出すタイミングと、歩行のリズムがずれると状態推定精度が悪化することがわかった。本年度は簡易な手法で加速度データを切り出すタイミングを歩行のリズムと大まかに合わせることにより、データ量を1/20程度に削減する手法を提案した。この手法を評価した結果、1/20のデータ量でも精度を維持できることがわかった。2.取得した加速度データについて、どの周波数成分が推定精度に与える影響が大きいかを分析した。この結果、従来の1/4程度のデータ量で推定精度を維持できることがわかった。3.前年度まではk-means法を用いていたが、今年度はSVM、決定木を用いて推定を行い、推定精度の変化を確認した。その結果、SVMが最も推定精度が高いことがわかった。この結果、1と2を合わせて、データ量を1/80程度に減らすことが出来、また、3によって状態推定に必要な処理量を軽減できることを示せた。これにより、メモリリソースが少なく、また計算能力が低く、使用可能電力に制限のある携帯端末上で状態推定を行うことが可能であることを示せたといえる。
2: おおむね順調に進展している
当初の目的である、携帯端末を用いて歩行者の状態を推定する、という点については本年度の研究により、大幅に実現性が高まったものと考えられる。マップマッチング手法の検討に関する点が当初予定よりもやや遅れているが、これは次年度に対応する予定である。
実際に携帯端末で状態推定を行い、その問題点を明らかにするとともに、マップマッチングについても検討を行い、屋内位置推定の精度を評価する。さらに、可能であれば推定精度をさらに高める手法について検討を行うとともに、他の応用についても検討する。
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情報処理学会論文誌コンシューマ・デバイス&システム(CDS)
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情報処理学会研究報告高度交通システム
巻: 2011-ITS-047 No.3 ページ: 1-6
情報処理学会マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2011)シンポジウム論文集
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