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自律移動機能を備えた無線ノード群で構成されるアドホックネットワークやセンサネットワークでは、他の無線ノードを中継ノードとする無線マルチホップ通信が用いられる。無線ノードの移動速度、移動頻度、分布密度、通信特性に応じて適切な無線マルチホップ通信手法を提供するネットワーク基盤の構築を目指している。本研究では、無線ノードが低密度に分布する環境を対象とし、無線通信と無線ノード移動の組合せによるデータメッセージ配送を行なう耐遅延ネットワーク(DTN : Delay-Tolerant Networks)において、地図情報や近隣無線ノードの移動計画を活用して、低通信オーバヘッド、高到達性、低遅延の通信を実現することを目的とする。
本年度は、局所的移動計画広告に基づいたDTN無線マルチホップ通信の理論的検討を中心に行なった。DTN通信では、無線信号到達範囲外の無線ノードの移動計画が取得可能であるならば、複数ホップの転送をも考慮した次ホップ選択が可能になり、デッドエンドの抑止による到達性の向上や配送遅延の短縮などの効果が期待できる。そのため、以下の検討を行なった。(a)移動計画の告知基準の策定。(b)複数の近隣無線ノードの移動計画に基づいた転送、移送計画の策定手法。また、理論検討結果を実機評価するための移動無線ノードの試作を行なった。特に、ソフトウェア無線を活用した通信機構実現のための基礎実験を行ない、適用可能性を確認した。
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