研究概要 |
本研究では,コンピュータ(ピア)をCPU数等のマクロレベルで分類し,各ピア上で応用プログラムを実行した場合の計算モデルと消費電力特性の関係を明確にする.この結果をもとにP2Pシステムで応用プログラムを実行する場合にシステム全体の消費電力を低減し,かつ応用プログラムの要求するサービス品質(QoS)を満足するピアの発見プロトコルと選定アルゴリズムを提案することを目的としている. 平成22年度は,ピアの計算モデルと消費電力特性の定式化を行い,P2Pシステム全体の消費電力を低減するためのピアの発見プロトコルと選定アルゴリズムの設計を実施した.本研究では,対象とするアプリケーションをファイル転送およびトランザクション処理が主な処理となる2種類のアプリケーションを想定し,それぞれのアプリケーションに対して,ハードウェア構成の異なるピアで同時実行されるプログラム数と消費電力量の関係を測定した.この結果から,本研究では,CPU数およびコア数でピアを分類することとし,アプリケーションと分類したピア毎に計算モデルと消費電力モデルを定義した.この計算モデルと消費電力モデルを使用することにより,各ピアの持つ分類項目,実行中の応用プログラム数,最小・最大消費電力値がわかれば,各ピアに新たな要求を割当てた場合の消費電力量を推定できる.よって,この推定結果をもとに新たな要求の処理に掛かる消費電力が最小となるようなピアを選定するアルゴリズムの設計,実装およびシミュレーションを用いた動作検証を行った.次年度は,具体的なアプリケーションを想定したシミュレーションを実施し,提案手法の評価および改善を実施する予定である.
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