近年の通信技術には,2つの大きな流れがある。一つはインターネットに代表されるクライアント・サーバ・システムともう一つはP2Pシステムである。最近のP2Pシステムはその技術的な特徴からシステム設計や実装において新しい分野を生み出している。JXTAを用いたP2Pの研究が数多く開始されてきている。JXTAは各種サービスに必要とされる共通のアプリケーション要件を提供することによって、あらゆるP2Pサービスを実行できるプラットフォームである。JXTA-Overlayは、JXTAベースのアプリケーションに必要とされる基本的な機能を提供するものである。 本研究は、理論的な計算、環境開発、シミュレーション、および実験の4段階によって行った。研究目的を達成するために、平成24年度では次の点について研究を行った。 JXTA-Overlayの新しい機能の実装とセキュリティ機能の実装を行い、その実装の検討と評価を行った。応用としては車車間・ネットワークの実装と評価を行った。また、セキュリティ・アルゴリズムを実装し、セキュアJXTA-Overlay P2Pシステムの実験を行い、その評価について検討した。 新たなアルゴリズムとプロトコルの検討、実装と評価として、従来のJXTA-Overlayには,二つのアルゴリズムが実装されていた。一つは,ピアの判定であり、もう一つはファイルを検索するためのアルゴリズムである。去年度まで、その機能の一部が実装されている状態であった。そのため、プリミティブの生成と実行したことを通知するEventの生成が必要であったため、新しいアルゴリズムを実装した。また、知的アルゴリズムに基づいてP2Pシステムの経路制御、ピアの信頼性、リソース割り当てのための新しいアルゴリズムとプロトコルの提案と実装を行った。
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