研究概要 |
センサネットワークは,これまでバッテリ駆動のための省電力化を主要な課題として研究されてきた.しかし,センサネットワークを利用した応用システムの要求は多種多様で,その情報源も様々である.本研究では,災害時の被害情報の収集,自然環境のモニタリング,住宅のセキュリティなど様々な用途にセンサネットワークを活用することを目的として,それらの要求に応えるためのリアルタイム性,緊急性,データ量対応,省電力化と長期稼動のための方式について検討している.具体的には,共通プラットフォーム化のためのQoS制御を考慮したネットワークアーキテクチャの検討,各ノードの通信状況や電池などの状況に応じて通信帯域を制御するMACプロトコル及びルーティングプロトコルの開発,そして,分散スマートカメラなどの様々な情報源と連携した情報共有による高度なモニタリング技術の開発を目指す.H22年度は,加速度のリアルタイムモニタリングを調査するため,カリフォルニア大学アーバイン校の水道パイプラインモニタリング実験に参加した.さらに同大学の建物の各階で計測された地震の加速度から振動エネルギーの周波数成分を分析し,構造物ヘルスモニタリングをセンサネットワークで行うためのサンプリングレートについて知見を得た.この結果を国際会議に論文として投稿し採択された.この知見を基に,平成23年度はセンサネットワークで加速度をリアルタイムに長期間収集する制御方式の研究を進める.また,このモニタリングシステムに通信環境適応型の無線通信方式を導入する有効性について精査する.加えて,多様な情報源として分散配置されたカメラからの情報を想定し,その情報を共有するためのネットワークにグラフ理論の導入を進める.
|