研究課題/領域番号 |
22500078
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研究機関 | 函館工業高等専門学校 |
研究代表者 |
藤原 孝洋 函館工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (80435388)
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研究分担者 |
渡辺 尚 静岡大学, その他の研究科, 教授 (90201201)
河合 博之 函館工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90435389)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | センサネットワーク / ネットワークアーキテクチャ / 通信プロトコル / 地震加速度 / 環境適応型無線ネットワーク / レートレス符号 / 彩色問題 / グラフ理論 |
研究概要 |
多様な情報源に対応するセンサネットワークに関する研究状況は次のとおりである. 【①加速度計測に対する無線センサネットワークの通信制御と評価実験】地震加速や建造物の振動を無線センサネットワークで計測し,データを連続してデータベースに収納するモニタリングシステムのテストベッドを開発した.その評価実験を通して,省電力化のための通信制御とデータ収集のリアルタイム性を両立させる通信方式について知見を得た.加えて,多数のノードから連続して伝送されるデータをデータベースに収納する際の課題が明らかとなり,現在対策を検討中である. 【②通信環境適応型センサネットワークの通信制御】センサネットワークのマルチポップ通信におけるスループット向上のため,複数の周波数帯域の利用状況を考慮した通信方式を検討し,周波数帯域ごとに宛先までの遅延時間を求め,遅延時間が短い周波数帯を優先する通信方式を提案した.評価結果からスループットがIEEE 802.11b 単独に比べて最大約4.7倍 向上することが示された.さらに無線センサネットワークの不安定な電力供給下における環境発電型無線センサネットワークの到達率向上のため,レートレス符号化を適用する方式を検討し,性能が約4.2倍に向上することを示した. 【③ネットワークの”無閉路構造”に関するグラフ理論的考察】無線センサネットワークの構造に関して,有向グラフに対してその隣接性から基礎となる三つの辺彩色の型を導入し,有向グラフDが4型無閉路辺彩色を持つならば,そのラインダイグラフの底グラフU(L(D)) は4型無閉路彩色可能であり,さらにラインダイグラフL(D)もまた4型無閉路辺彩色を持つことを示した.この結果を利用して,有向グラフDの部分有向グラフの辺を2色で4型辺彩色することで底グラフU(L(D)) のFVS(Feedback Vertex Set)を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多様な情報源に対応するセンサネットワークについて知見を得るため,地震加速度を記録するためのテストベッドを開発し,連続したデータ収集に関わるサンプリングレート,およびそれにかかわる通信制御とデータベースのデータ処理について調べることができた.また,環境適応型無線センサネットワークについて,環境発電型ネットワークにレートレス符号を適用する新たなデータ収集方式の研究を進めている.さらに,ネットワーク構造の研究では,”無閉路構造”に関するグラフ理論的考察を行い,新たな知見を示すことができた.
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今後の研究の推進方策 |
地震加速度モニタリングを目的とする無線センサネットワークとその省電力制御,連続した加速度データ収集のためのデータベースサーバ等の課題について,テストベッドで評価を継続し,多様な情報源からのデータ収集のためのネットワークアーキテクチャと通信プロトコルについて知見を得る.また,通信環境適応型センサネットワークの通信制御技術に関して,環境発電型無線センサネットワークの概念を導入し,レートレス符号化によるデータ収集方式の検討を進め,通信環境適応型センサネットワークに関する知見を得る.さらに,グラフ理論をベースにした無線センサネットワークの無閉路構造に関する研究を進め,ネットワーク構造に関する効率的な活用について検討する. それらの成果を基に,データ容量や緊急性の相違など多様な情報源のデータ属性に関する知見をまとめ,要求されるQoS制御について提言をまとめる.
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