研究課題/領域番号 |
22500080
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
大瀧 保広 茨城大学, IT基盤センター, 准教授 (30261738)
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研究期間 (年度) |
2010-10-20 – 2014-03-31
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キーワード | 監査ログ / 秘密分散 / 部分開示 / P2P / 分散ファイルシステム |
研究概要 |
デジタルな電磁記録は、書き換えたときに「書き換えた痕跡」が残らず、改ざんされたのか、元々そのようなデータなのか、の判別ができない。デジタル情報に「証拠能力」を持たせるためには,人為的にそのための仕組みを作り込んでおく必要がある。人為的に証拠能力を与える研究分野は「Digital Evidence」と呼ばれる。Digital Evidenceの中の一分野として、改ざんを防止するシステムログの記録方式に関する研究分野があり「Secure Audit Log」と呼ばれる。一方、P2Pネットワーク上に分散配置された情報は消去がきわめて困難である。この性質は、アーカイブやログ記録を目的とするストレージとしては望ましい。そこで本研究では,情報の開示範囲を制御できる機構を有する監査用暗号ログの記録方式をP2Pネットワークを利用した分散記録方式に拡張することを目的とする。 これまで、4台構成でのプロトタイプの実装と安全性の証明を行ってきた。 平成24年度には以下の2つのことを行った。(1)ピアでの不正処理を検出する機構を提案した。一般にP2Pシステムの場合には、ピアは完全な管理下にないため、想定されている処理を適切に行わない可能性がある。そこで、キーワード検索時に検索が行われるピア上で不正な処理が行われた場合、検索を依頼した側のピアでその不正を検出できる方式を開発した。(2)ネットワークシミュレータ上でのシステムの実装に着手した。これは台数が増加した時のシステム全体の挙動を評価するためである。分散ログを配置するノードを決定する部分や、検索の問い合わせをシステム全体に流す部分などで想定を超える変更が必要となったため、今年度中に完成させることができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は当初の予定では、ネットワークシミュレータ上でのシステムの実装を完成し、評価実験を行うはずであった。しかしながら、開発の途中でピア上で処理が適切に行われたか否かを検証する機構が必要であることに気づいたため、その手法の開発を行う必要が生じた。また、分散ログを配置するノードを決定する部分や、検索の問い合わせをシステム全体に流す部分などで、予想を超える変更が必要となってしまい、シミュレータ上で動作させることができていない。そのため台数の増加に伴うシステム全体の挙動評価もできていない。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に継続してネットワークシミュレータ上での実装の完成を目指す。 シミュレータ上でノード数の増加によるログの分散記録方式の実効性、キーワード検索に対する検索結果の取得性能などの評価を行う。
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