研究概要 |
現代の高度情報化社会にとって、音声や画像といったマルチメディアの蓄積や伝送技術は,必須の技術となっている.特に,ディジタル画像は,他のメディアに比較して,その情報量がきわめて膨大である.そのため,画像を伝送または蓄積する際,情報圧縮して情報量を削減する必要がある.その符号化技術の開発は,ますます重要となっていく.動画像の情報量は,静止画像の数十倍で,非常に膨大である.動画像圧縮にウェーブレット変換を応用して圧縮性能を向上させる研究が多くあるが,最も単純な方法は,空間方向にウェーブレット変換を使用するものである.さらに,時間方向においても,ウェーブレット変換を用いて,時間方向の相関を低減し,情報量の削減を図る.空間と時間方向の両方において,ウェーブレット変換を使用する手法は,3Dウェーブレット符号化と呼ばれている.3Dウェーブレット符号化では,時空間の相関を同時に利用することで,動画像の圧縮性能の改善が可能となる.本研究では,オールパスフィルタを用いたウェーブレットフィルタバンクを動画像圧縮に応用し,オールパスフィルタによる3Dウェーブレット符号化技術を開発する.オールパスフィルタを用いたウェーブレットフィルタバンクは,直交性、対称性やレギュラリティなどの条件を同時に満たすことができるため,動画像の圧縮性能の向上が期待できる.さらに,ウェーブレット変換のシフト不変性の欠如による画質劣化(フリッカー)を改善することを目指す.
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