研究課題
デジタル画像は，他のメディアに比べ，その情報量が膨大である．そのため，デジタル画像を伝送・蓄積する際，圧縮してデータ量を削減する必要がある．デジタル画像符号化技術は，高度情報化社会に不可欠な基幹技術の一つであり，その符号化技術開発は，ますます重要である．画像には，静止と動画像がある．静止画像圧縮手法の一つとして，ウェーブレット変換を用いた技術があり，国際規格JPEG2000に採用された．JPEG2000の再生画像は，プロック歪がなく，JPEGより圧縮性能が優れている．また，オールパスフィルタより，従来実現不可能な直交性と対称性を同時に実現でき，JPEG2000で採用されたウェーブレット変換を上回るロシー・ロスロス圧縮性能が得られた．JPEG2000の成功を受け，動画像圧縮にウェーブレット変換を応用した研究が多く行われ，基本的な考え方は，空間方向に，離散コサイン変換の代わりに，ウェーブレット変換を使用してブロック歪を改善するものである．また，時間方向にも，ウェーブレット変換を用いて，時間的相関を低減させ，情報量を削減する．空間と時間方向の両方に，ウェーブレット変換を使用する手法は，3Dウェーブレット符号化と呼ばれ，動画像の圧縮性能が改善できる．しかし，従来の研究では，使用したウェーブレット変換は，直交性と対称性を同時に満たさなかった．本研究では，オールパスフィルタを用いたウェーブレット変換を動画像圧縮の空間変換に応用した．オールパスフィルタを用いたウェーブレット変換は，直交性と対称性を同時に満たすため，圧縮性能を改善できた．さらに，時間方向にリフティングウェーブレット変換を用いて，動き補償技術を組み入れた．オールパスフィルタを用いたウェーブレット変換を用いて，エイリアジング成分を抑制し，シフト不変性の欠如を改善することにより，動画像圧縮性能のさらなる向上を確認できた．
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)
IEEE Trans. Signal Processing
巻: Vol.60、No.11 ページ: 5764-5774
DOI:10.1109/TSP.2012.2212893
