研究概要 |
本研究では,新たな表現手法である彫紙アートを対象とし,コンピュータ上で対話的に二次元画像および対象の奥行きデータから彫紙アートを作成するシステムを検討する.彫紙アートとは,複数の異なる色の有色紙を重ねることで厚みを持たせたものをカッターや彫刻刀で彫ることによって,凹凸形状に加え,色彩も表現する彫刻技法である.下絵に基づき,必要な有色紙を選び,適切な色と凹凸感の表現が可能な順に重ねる.表現したい色の一枚上の有色紙まで彫り抜くことによって色を出す.この作業を全色に対して行うことで,複雑な形状と共に紙独特の色彩も表現が可能である.本研究では,通常,手作業で行われるデッサン,彩色,色毎のナンバリング,紙の切削の一連の作業をコンピュータ上で自動的に行い,ユーザへ彫紙作成の雛型を提供する.また,コンピュータ上で作成した雛型をユーザが対話的に操作することで,ユーザが意図した彫紙を作成することが可能な彫紙作成支援システムを構築することを目的とする. 平成23年度においては,人間の知覚特性に基づいた領域分割手法を中心に,特徴的なディテールを保持しながら画像空間上での大域的な領域分割が可能な手法の検討を行うために,人間の注視情報を利用した領域分割手法の検討を行った.まず,領域分割に必要な注視情報を取得するために,ディスプレイに表示された画像をユーザが注視した場合の視線情報から,ユーザの注目領域を求める手法の検討を行った.また,彫紙に含まれるオブジェクトのグループ化の検討として,ビデオ映像から得られた領域の時間方向の関連性を利用するために,彫紙をアニメーション化する手法の検討を行った.
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