本研究では,新たな表現手法である彫紙アートを対象とし,コンピュータ上で対話的に二次元画像および対象の奥行きデータから彫紙アートを作成するシステムを検討する.彫紙アートとは,複数の異なる色の有色紙を重ねることで厚みを持たせたものをカッターや彫刻刀で彫ることによって,凹凸形状に加え,色彩も表現する彫刻技法である.下絵に基づき,必要な有色紙を選び,適切な色と凹凸感の表現が可能な順に重ねる.表現したい色の一枚上の有色紙まで彫り抜くことによって色を出す.この作業を全色に対して行うことで,複雑な形状と共に紙独特の色彩も表現が可能である.本研究では,通常,手作業で行われるデッサン,彩色,色毎のナンバリング,紙の切削の一連の作業をコンピュータ上で自動的に行い,ユーザへ彫紙作成の雛型を提供する.また,コンピュータ上で作成した雛型をユーザが対話的に操作することで,ユーザが意図した彫紙を作成することが可能な彫紙作成支援システムを構築することを目的とする 平成24年度においては,領域分割結果に基づき,各領域を表現するための適切な有色紙選択するとともに,彫紙の凹凸形状を表現するためのレイヤー記述手法を検討し,一連の彫紙作製作業が可能な支援システムを構築した.構築した彫紙作製支援システムを用いて,イラスト,人工物を撮影した画像,自然画等,様々な種類の画像に対し適用し,提案システムの有効性に関して検討を行った.
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