研究概要 |
本研究では,生涯教育における天文分野での新たな統合的Web教育の基盤システムの開発を行っている. 平成23年度は研究の第二段階として,初年度で開発した教材生成・配信のためのシステムを利活用するために,教材データの蓄積方法の確立と教材連携のためのモバイル機器を活用したシステム構築を行った. (1)Web上の他の教材との連携を可能にするシステムの開発 Web上に散在する教材を連携させ,モバイル端末に提供するための基盤システムの開発を行った.研究協力者である学芸員は,プラネタリウムでの生解説に関連した内容,もしくはリアルタイムで起こっている天体現象についての解説をインターネット上のメディアで発信する試みを数年続けている.本研究では,このような教育者によるblogなどを介在した教材連携機能も併せて開発することにより,教材連携を可能にすることを視野に入れて開発を実施した.また,来館者同士あるいは来館者と学芸員が,モバイル端末などを利用して教材の交換やコミュニケーションをし,天文現象の現解を深めるための機能の開発を行った.加えて,プラネタリウムでの解説と展示室との連携のためのモバイル・ガイドシステムの開発と予備実験も実施した. (2)天文教育用教材データベースの構築 天文教育用データベースの基盤を構築するために,Web上に散在している天文ニュースを集約し,可視化するためのシステムの機能拡張を実施した.具体的には,国立天文台などが提供している最新の天文ニュースを半自動的に収集することのできる機能を開発した.また,収集された天文ニュース群を学芸員が編集・管理することによって,プラネタリウムのための教育番組制作に寄与することを目的とした基盤機能の開発を行った.更に,教材データベースの1つとして,星空観測のための夜空の明るさを観測し,集約化するためのシステムの開発と予備的実験も実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,生涯教育における天文分野での新たな統合的Web教育の基盤システムの開発を行っているが,研究期間1~2年目を通して,当初の目的である基盤システムの開発を順調に行っており,具体的事例として天文ニュースの集積・編集・可視化機能を実現している.また,蓄積された天文教材を活用したプラネタリウム解説と連携させた展示フロアでのモバイル・ガイド・システムの構築へと発展させており,一般来館者による予備的実証実験を含めて研究の実用性の検証も併せて行なっている.
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今後の研究の推進方策 |
現在までのところ研究の推進にあたって特に大きな問題点はない.したがって,当初の計画に沿って研究を遂行していく予定である.来年度は本研究課題の最終年度であるため,成果の取りまとめと国際会議や学術論文誌への発表を着実に行なっていく.また,本研究課題を更に発展させるために,より多くの研究者との連携を図り,再来年度以降の新たな研究計画を作成する予定である。既に,今年度その準備として名古屋市科学館において,近隣5大学、名古屋市科学館および民間通信キャリアと合同で,月1回の自主的研究会を開催している.
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