(1)ヒトにおける弾性の知覚を定量的に予測するモデルを構築した。これまでに弾性の知覚は物理的な力/距離とは異なることを心理物理実験により明らかにした。実験結果を基に、ヒトは弾性を反力の時間積分として知覚しているというモデルを構築した。構築したモデルは、通信ネットワークの伝送遅延などにより、出力が遅延する場合の弾性知覚の変化も高精度で予測することができた。 (2)弾性、粘性、慣性といった機械インピーダンスの定性的な感じ分けを説明、予測するモデルを構築した。構築したモデルは、反力のダイナミクスを自己組織化学習し、や熟練による感覚の鋭敏化や錯覚の説明、予測を目指している。今年度は、反力ダイナミクスのパタン分類動作の確認を行い、大まかに弾性、粘性、慣性が弁別されていること、ダンパーの出力が遅延するとバネと誤認されるという興味深い錯覚が予測されることが確認された。 これらの成果は、通信ネットワークのエラーや遅延により触覚装置の出力が乱れた時の、ユーザの知覚の変化を予測し、操作性低下を補償することへの応用を目指している。
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