本年度は、昨年に続き、自己交差を持たない単純多角形を包含する多角形列を出力するアルゴリズムの高速化について研究をおこなった。n頂点の単純多角形に対し、O(n**3/2)時間で出力をするアルゴリズムを提案したが、理論的に間違っている部分が発見され、O(n**2)時間のアルゴリズムであることがわかった。一方で、計算機実験では、O(n**3/2)に従う計算時間となり、実際の実行時間も1秒以下(2048頂点)となっていた。そのため、Androidなどの計算能力の低いガジェットでも実行可能なアルゴリズムであることが確認できた。 次に、理論面での高速化、つまり計算時間をO(n**2)時間以下にするという課題について研究をおこなった。目的の達成のためには、アルゴリズムの前半と後半にある交差判定の回数を減らす必要がある。前半は、単純多角形の高速な三角形分割を利用することで、交差判定の回数を減らすことができた。後半は、まだ解決できていない。前半で利用した三角形分割を用いることは可能だが、時間計算量は変化しない。この部分は今後の研究課題である。 また、サーバや Android端末上での計算機実験は、実装の遅れから、まだ実験をおこなえていない。今後、計算機実験をおこなうために、実装を進める予定である。
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