研究課題/領域番号 |
22500118
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
冨安 洋史 筑波大学, システム情報系, 講師 (50284550)
|
キーワード | 情報工学 / 知能機械 / 計算機アーキテクチャ / 電子デバイス・機器 / 探索問題 |
研究概要 |
本研究は将棋の局面の評価値をハードウェアによって計算し高速化しようというものである。 平成22年度までの検討で、各局面の評価関数は基本的に乗算と加算の組み合わせで実現でき、比較的容易にハードウェア化でき、並列かも可能である見通しが付いた。しかし、その後検討を進めたところ、この評価関数演算装置に新しい局面を供給する方法に問題があることが判明した。 新しい局面を生成するには、ルールに従って次に着手可能な手を生成する必要が有る。ここでは各駒の効きは相互に作用し合っているため、ある手がルールに合致しているかをチェックするには、その手を選択した場合の局面において全ての駒の効きをチェックしなければならない。従来はこれをソフトウェアで行っていたが、ソフトウェアは同時に一つの効きしかチェックできないため、どうしても多数のステップを必要とする。そこで、次に着手可能な手の生成もハードウェアによる高速化が必要であると判断した。 このような多数の制約条件を高速に判定するには幾つかの方法があるが、現在の所本研究ではハードウェアの特性を生かして、各駒の情報を将棋盤に相当するセルアレイ上に伝搬させ、各セルに存在する駒の情報と相互作用させて並列に可不可を判定する機構を考えており、一応の見通しを得ている。 今後はこの生成エンジンのハードウェアを設計し、前年度までに検討した局面評価エンジンと合わせてFPGA上に実装し、回路規模や動作周波数を検証し成果発表へと繋げたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
評価関数の演算については当初の予想の通りであったが、これを演算するエンジンのスループットに見合うだけの局面の供給ができていない。これを解決するため着手可能な手の生成もハードウェア化する必要が有り、システムとしての組上げが遅れている。これに伴ってまだ性能評価を十分に行う事ができず、成果発表に時間がかかっている。
|
今後の研究の推進方策 |
局面の生成についてもハードウェア化することにしたため、設計に要する時間がより多く必要であるが、やや遅れが生じるものの本年度中に評価まで行う事ができる見込みである。 研究の推進手法については従来と変わりなく、HDLによるハードウェア設計およびFPGAへの実装を行って、ハードウェア規模やスループットの検証を行う。最終的に実際に従来のソフトウェアによる手法と比べてどの程度の改善が見込めるかを検証することを目標としたい。
|