研究課題/領域番号 |
22500124
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
森 辰則 横浜国立大学, 環境情報研究院, 教授 (70212264)
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キーワード | ディレクトリ・情報検索 / 画像,文章,音声等認識 / ユーザインターフェース / 自然言語処理 / 情報アクセス技術 / 質問応答システム / 情報信憑性判断支援 |
研究概要 |
世界に存在する膨大な量の文書情報を扱うために情報アクセス技術に関する研究が行われているが、従来は、回答候補群について、利用者が如何に検証し、自分なりに納得のいく回答を選ぶかという観点で議論がされていない。本研究では、情報アクセスシステムが提示する回答候補の採否を利用者が最終的に判断することを当然の前提とし、利用者の納得に寄与する情報アクセス技術を検討している。本年度は特に以下の検討を行った。 1.理論的な枠組みに関する検討 平成22年度に引き続き、利用者の納得の観点から言語的なモデルを検討した。具体的には、情報アクセスシステムの代表例である質問応答システムを題材とし、Q&Aコミュニティサービスの事例から得られる質問と回答の仕方に関する言語モデルを、質問応答のいくつかの過程に導入すると、精度が向上することを示した。 2.個々の回答候補の観点から、利用者の納得への寄与の検討(第2期)ならびに実証システムの構築 情報アクセスシステムの多くが情報検索と情報抽出の組み合わせで構成されるが、細部が利用者から見えず、回答候補への利用者の納得に繋がらないことを問題意識として、利用者が様々な情報抽出部品を組み合わせて利用できる情報抽出型検索エンジンを提案した。抽出部品の開発と利用を通じて、利用者と開発者が協働し、コミュニティを醸成することにより、抽出部品の特徴を理解しつつそれらを組み合わせて利用可能な基盤である。 3.回答候補間の関係の観点から、利用者の納得への寄与の検討(第1期) 個別の回答候補に対する検討を踏まえ、回答候補間の相対的な位置づけを利用者に提示する手法を検討した。特に、回答候補間の相対的な位置づけを利用者に提示する際に情報信憑性の判断と納得に寄与するために、研究課題の焦点を「調停要約」と呼ぶ情報統合・提示の枠組みに絞って検討を行い、その精度向上手法を提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度においては、前年度の成果も含めたうえで当初予定よりも早く研究成果をとりまとめることができた。特に、本研究課題に関する査読付き論文が3編、大会・研究会発表が3件あり、多くの対外発表により社会還元ができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究は順調に推移したので、来年度も、本研究課題のとりまとめの年度であることを念頭において、残された課題について引き続き研究を遂行する予定である。
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