研究概要 |
研究全体の目的は,公的学術社会調査などから得られるエゴセントリック情報より,プライバシー等の問題から完全には把握できないソーシャルネットワークの全体構造をできるだけ精緻に推定する方法を開発することである.これに関して今期は以下の成果を得た. 1. 社会調査から得られるエゴセントリック情報を詳細に分析し,組合せ最適問題として目的関数を構築し,全体ネットワーク構造の推定問題を定式化するために,レビュー類似度によるネットワーク構造分析法やノード属性を考慮した情報拡散影響度の推定法を確立し,エゴセントリック情報による推定問題の定式化に向けて重要な指針を得た. 2. 既知構造ネットワークを利用した実験を通して,本推定問題において,精度と効率の両面で有効な新解法を構築するために,非線形施設配置問題における貧欲法の遅延評価による高速化法や類似検索における遅延評価を用いたピボット選択の高速化法を確立し,効率の良い全体ネットワーク構造推定法の構築に向けた核技術を確立した. 3. 全体ネットワークの本質的構造を推定できているか検証するための評価法の確立に向けて,社会ネットワークにおける中心性の定量的な頑健性評価法を提案した.さらに,評価指標の1つとしてネットワーク・モチーフに着目し,リンク張替に対するモチーフ解析の頑健性評価を行い,有望な結果を得た. 4. ネットワークやデータの効率的な解析をすることを目的として,2部グラフ可視化法の高速化法とともに,ピボットを用いた類似度データの可視化法を確立した.
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