研究概要 |
計算機科学や情報通信をはじめとする情報科学において,多くの問題は組合せ最適化問題として定式化される.このため,組合せ最適化問題の近似解を高速に求める方法の研究は,応用も幅広くこれらの分野におけるひとつの大きな柱となっている.特に,反復アルゴリズムが注目されており様々な最適化問題を解くための反復アルゴリズムが設計されている.MAX-3-XORSATの硬判定メッセージ交換アルゴリズムの解析の準備として,まず数理的に類似した構造を持つ問題についてのダイナミクスの理論的解析等を行った. 画像処理など多くの応用が期待される圧縮センシングのL1再構成を近似的に行う反復アルゴリズムも,充足可能性問題のアルゴリズムと類似した構造を持っている.従来の解析手法では,理論的な解析が簡単になる特殊な場合を除き,このような圧縮センシングの反復法に基づく再構成アルゴリズムの性質は明らかにできなかった.この反復アルゴリズムについて経路積分法により性能を評価し,その性質について理論的な検討が可能となった.また,誤り訂正符号は,排他的論理和充足可能性問題と類似した構造を持っている.線形符号を用いた誤り検出に基づく情報通信について,見逃し誤り確率を解析的に評価した.これらの成果は,proc. of2011 IEEE Int'1 Sympo.on Information Theoryに採録が決定した.その他,漸近的に理論的な性能限界を達成する有歪圧縮法と誤り訂正符号についても,それぞれ反復アルゴリズムに基づく符号器と復号器を構成して性能を数値的に評価した.この成果は,Journal of the Physical Society of Japanに掲載された.また,別途論文1編を投稿中である.
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